「お金と感情と意思決定の白熱教室ー楽しい行動経済学ー」ダン・アリエリー著の書評です。
認知心理学専門であり、デューク大学教授であるダン・アリエリーの講義をまとめた本になります。
行動経済学というと企業が顧客の購買意欲を高めるためにやっているようなイメージですが、この本では、日常にあるどうしても、流されてしまう人間の不合理な現象を解説しています。固い文章ではなく、すべて目の前で語ってくれているような話し言葉ですので、楽しく読めると思います。
この本を読んで欲しい人
この本は話し言葉でまとめられているので、本を読むのが苦手な人にもおすすめです。また、どのようにしたら、人や社会がいい行動できるように導けるのかを目指して、研究や事例が多く紹介されています。以下の人は特におすすめです!
- どうしても三日坊主になってしまう人
- なにをやっても挫折してまう人
- 人のモチベーションを高めたいと思っている人
人間はどうしても怠惰な生き物である
この本の結論として、人は不合理な存在です。しかし、工夫することで乗り越えることも可能です。
「ダイエットしようと思っても、ついつい食べてしまう」
「朝起きしようと思っても、すぐにだらけてしまう」
やらないといけないのにどうしてもできないのは、あなた自身が弱いからでも・悪いからでもないのです。それは本能的なものであって、人間というのは、もともと「合理的にできていない」ので、できないことは当たり前なのです。
人は長期的な目で見ることはできず、短絡的に考えてしまうので、遠い未来よりも近い誘惑に負けてしまいます。
歯磨きはなぜ毎日できているの?
それでは、人は堕落する道しかないのかと思われますが、工夫によって行動や習慣を変えることができます。その一つの例として、「歯磨き」があります。
現代の90%以上の人が歯磨きを1日一回以上行っています。これは驚くべきことです。多くの人が好きで歯磨きをしているのかというと、そういうわけではありません。
しかし私たちが習慣ができているのは、「歯磨き粉」があるからなんです。なぜなら、歯磨きをするたびにミント味を味えるからです。これから歯磨き粉をつけないでと言われて、習慣的に歯磨きをするのは難しいと思われます。
今まで味わっていた歯磨き粉がなくなると「歯磨き」が急に味気なく感じてしまうように、習慣化したいことにプラスαでご褒美をいれると習慣化することが楽になるでしょう。
自分の手を縛る「習慣術」
オデュッセウスのセイレーンの話を知っていますか?
セイレーンとは、船を沈没させ、誘惑する人魚のような存在です。船長であったオデュッセウスは誘惑に負けないようにセイレーンが出る海域に入る前に、船員に自身をマストに縛るように命令します。その結果として、セイレーンの誘惑に勝って無事に出港できました。
これを同じように習慣化にすることができます。将来の自分が良くない行動をとると考えて、事前に対策をするのです。
私の例を挙げると、私の好物はハチミツです。気がつくと500mlのハチミツを1日で舐めてしまいます。これだと、すぐに太ってしまうし、金銭的にも痛いです。しかし、1日のご褒美として取っているはちみつを我慢をするのは、つらいので、100均の50mlボトルにハチミツを入れました。
ボトルに入れた分しか1日食べてはいけないとすると、最高で50mlしか舐められないからです。このおかげで、ハチミツをできる限り味わい、制限することができました。
もしあなたが制限したいものがあれば、小さくしてパッケージにして少しずつ摂取するようにするのはいかがでしょうか。
この本を読むと、
人を良い方向へ行動を促すのは難しいと思われがちですが、ちょっとした工夫によって、可能になります。多くの研究や実例からどのようにしたら、行動を促すことができるのかが、本書ではジョークとともに取り上げられています。
私も本書からのヒントをもらい、ハチミツの制限することができました。他にも多くの習慣化や自己コントロールできるヒントがあります。興味を持った方はぜひ読んでみてください。
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