自然からみる生存戦略【彼岸花】

日常の戦略思考

自然界では厳しい生存競争を行っています。それは森の中だけではなく、身近な街の中でも同じです。

本記事では身近な植物の生存戦略について紹介していきます。身近にある植物から戦略を学んでいきましょう。読むだけで、いつも何気なく見ている日常空間が新鮮に見えてくるはずです。

夏の終わりに見る【彼岸花】

秋のお彼岸に咲く彼岸花

9月頃に咲き始め、今まで何もなかった地中からニョッキと伸びては、一斉に花を咲かせます。日本では昔から馴染み深い花ですが、墓地に咲いていたりするので、不吉な花として有名かもしれません。

戦略①葉が見当たらない理由

植物の特徴でもある、葉っぱを見たことないという人は多いのではないでしょうか。

彼岸花は花が咲いている時には、葉っぱを出さず、咲き終わったあとに葉っぱを出すという方法を採用しています。

理由としては、ライバルを減らすためです。春から夏に向けて、光合成を行う適切な時期でもありますが、競争率が高いのです。そのため彼岸花はライバルが少ない秋から春にかけては葉っぱをだして、夏頃は潔く葉っぱを枯らし、エネルギーを溜め、秋に咲くのです。

戦略②一斉に咲き始める理由

彼岸花は種子をつけることができないので、風や鳥に運んでもらうことができません。なので、地続きでの繁殖か、人の手により球根が植えられることでしか広がることができないのです。

そのため、多くの場合、花が集まって群生しています。 ほとんどが、人の手で植えられて繁殖したものと考えた方がいいでしょう。

また、日本の彼岸花は、遺伝子的にすべて同じものだとされています。桜のソメイヨシノも有名ですね。桜も同じ時期に一斉に咲くように彼岸花もすべての花が同じタイミングで咲くのです。

戦略③お墓やお寺でよく見る理由

実は、彼岸花は毒を持っています。とくに球根には強い毒性のある「リコリン」という物質がふくまれています。そのため、昔はネズミやモグラなどの害獣がお墓を荒らされないようにするために多くの彼岸花が植えられていました。

また、花の形から曼荼羅を連想させる意味合いもあったそうです。

「彼岸花」の生存戦略まとめ

彼岸花はライバルが少ない時期を狙って葉っぱを出し、球根に毒を持つことで他の生物に食べられないようにしたり、広く繁殖が難しくても地道に戦略を練って今まで生き残ってきたんですね。

こう見ると彼岸花は特徴的な形をしていますが、そこに秘めたる戦略がすごく練られているように思います。少しでも彼岸花が不気味ではなく、知略に長けた美しい花だと思われるといいなと願います。

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